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組み込み無線機器の開発では、受信機やアンテナ周辺へどんなRF信号を入れるかが評価を左右します。そこで使うのがRF信号発生器です。周波数範囲だけを見ても機種の向き不向きはつかめません。
IQ変調の帯域や出力レベル、位相雑音まで比べると、各機種の担当領域が見えてきます。通信規格の波形を作る試験か、CWで受信感度を測る試験か。狙いによって必要な機能は変わります。
ここでは開発現場で検討しやすい4機種を紹介します。主な仕様に加えて、どんな評価で役立つのかも見ていきましょう。
早見表
表では、8 GHzまでの広帯域IQ、標準IQ変調、周波数切替、低雑音の違いをまとめました。まずは各機種の主な特徴をつかんでください。
| 機種 | 周波数範囲 | IQ変調・帯域 | 得意な用途 |
|---|---|---|---|
| SIGLENT SSG6082A-V | CW 9 kHz~8 GHz | 内部IQ 500 MHz | 広帯域IQ、通信規格波形 |
| RIGOL DSG3065B-IQ | 9 kHz~6.5 GHz | 内部60 MHz、外部240 MHz | IQ受信機試験、アナログ変調 |
| Keysight N5172B | 構成により9 kHz~6 GHz | 最大160 MHz、オプション構成 | 高出力、切替の速い評価 |
| R&S SMB100B | B106構成で8 kHz~6 GHz | アナログ変調はオプション | CW、低位相雑音の評価 |
周波数上限が似ていてもIQ帯域や変調機能には差があります。どの構成、どの周波数で仕様が成立するかを確かめると、試験とのミスマッチを避けやすいですよ。
価格は周波数オプションや変調機能、校正条件、販売時期で変動します。参考価格を目安にしつつ、必要なライセンスや制御インターフェースを含めた構成で確認しましょう。
SSG6082A-V
SIGLENTのSSG6082A-Vは、CWで9 kHz~8 GHz、IQ変調で10 MHz~8 GHzをカバーします。8 GHz帯の無線機器に加えて、低周波側の受信系も同じ装置で評価できるのが魅力です。
内部IQベースバンド帯域は500 MHz。QAM、PSK、ASK、FSKなどに対応し、SigIQProと組み合わせれば5G NR、WLAN、LTE、Bluetooth、IoTの信号も生成できます。機能によってはライセンスが必要です。
出力レベルの設定範囲は−140~+30 dBmで、振幅確度は代表値0.7 dB以下です。位相雑音は1 GHz出力、10 kHzオフセットで代表値−132 dBc/Hz未満。受信感度や信号品質を細かく評価したい場面で頼れます。
周波数設定分解能は0.001 Hz、基準周波数の初期確度は±100 ppbです。USB、Ethernet、Webサーバー経由で制御できるため、PCを使った試験の自動化にも組み込みやすいでしょう。GPIBにはUSB変換器が別途必要です。
DSG3065B-IQ
RIGOLのDSG3065B-IQは9 kHz~6.5 GHzに対応し、IQ変調を標準で搭載しています。ただしIQ信号の下限は50 MHz。これより低い周波数では、CWやAM、FM、位相変調を使った評価が中心になります。
内部IQ帯域は最大60 MHz、外部IQ入力なら最大240 MHzです。EVMは内部IQ変調で代表値0.7%未満、外部IQで代表値2%未満。無線モジュールや受信機のQAM・FSK試験で、必要な帯域を考える手がかりになります。
仕様出力範囲は1 MHz~6.5 GHzで−110~+13 dBmです。設定上限は周波数によって異なり、200 MHz~3.6 GHzなら最大+27 dBmまで設定できます。高出力の試験で使うなら、仕様範囲と設定上限の違いを確認してください。
USB、LAN、SCPIコマンドに対応し、GPIBはUSB-GPIB変換器で追加できます。位相雑音は1 GHz、20 kHzオフセットで代表値−116 dBc/Hzです。IQ試験と既存の自動測定環境への接続を両立したい現場に合います。
N5172Bの強み
Keysight N5172Bは、周波数オプションにより9 kHz~6 GHzに対応するベクトル信号発生器です。最大変調帯域160 MHzもオプション構成による仕様なので、必要な周波数範囲と合わせて確認しましょう。
1 GHz出力時のレベルは+21 dBmで、RF振幅平坦度は内部チャネル補正を使った160 MHz帯域での測定値が±0.2 dBです。広帯域信号による受信機や部品の評価では、振幅の安定性を確認する目安になります。
位相雑音は1 GHz、20 kHzオフセットで−122 dBc/Hzです。周波数切替時間は800 µs。試験周波数を次々と変える自動評価では、この切替時間も測定全体の所要時間に関係します。
PathWave Signal Generationに対応し、USB、LAN、GPIBで制御できます。ただし、インターフェースは構成によります。高出力や切替速度、Keysightの波形生成環境を優先する開発チームには、N5172Bがおすすめです。見積もりではオプション費用も確認してください。
SMB100Bの特長
Rohde & SchwarzのSMB100Bは、B106構成で8 kHz~6 GHzに対応するアナログ信号発生器です。シリーズには最大40 GHzの周波数オプションもありますが、6 GHz構成とは別の構成です。
AM、FM、位相変調にはK720、パルス変調やパルス生成にはK22またはK23が必要になります。SMB100Bはアナログ信号発生器です。CWやアナログ変調を使う試験を中心に行う現場なら、これらの機能が役立ちます。
仕様出力範囲は10 MHz超~6 GHzで−127~+18 dBm、設定範囲は−145~+20 dBmです。位相雑音は1 GHz、20 kHzオフセットで代表値−132 dBc/Hz。不要波を抑えた信号で受信感度や部品を評価したいときに頼れます。
Ethernetを標準搭載し、NRPパワーセンサーと組み合わせたクローズドループ出力制御も標準機能です。測定経路の損失や出力ドリフトを補正でき、ケーブルを含む評価系のレベル管理に使えます。GPIBとUSB-TMCはB86オプションです。
結論
SSG6082A-Vは、通信規格のIQ波形と8 GHzまでの広帯域評価を一台で行うなら第一候補です。6.5 GHz以下で標準IQ変調を使いたい場合は、DSG3065B-IQが実務的でしょう。
高出力や短い周波数切替、PathWave環境を重視するならN5172B。CWやアナログ変調を中心に、低位相雑音と出力レベル管理を求める評価にはSMB100Bが合います。
対象周波数に加えてIQ帯域、出力レベル、必要な変調オプションも試験内容に照らして確認してください。価格は構成と時期で変動します。必要機能を含めた参考価格と見積もりの両方が判断材料になります。
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