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ゲームエンジンをC++で自作したい。そう思ったとき、最初の一歩で迷いませんか。描画から作り、あとで入力やデータ管理を加えると、設計を組み直す場面が出てきます。
おすすめ本には、エンジン全体を見渡す本、ゲームを組みながら学ぶ本、設計や描画を掘り下げる本があります。それぞれ異なる知識を補えるので、自作のアーキテクチャを考える材料になります。
早見表
ゲームエンジン開発の本は、コードの書き方に加えて、機能の責任やデータの流れまでつかめると実践で役立ちます。まずは4冊の担当領域を一覧にしました。
| 書名 | 学べる領域 | 特徴 | 参考価格 |
|---|---|---|---|
| Game Engine Architecture: Two Volume Set | エンジン全体、描画、物理、音響 | 英語の大規模な体系書 | £120(紙版2巻セット) |
ゲームプログラミングC++ | ゲームループ、描画、入力、AIなど | 章ごとに実装と演習 | 5,060円(税込) |
Game Programming Patterns | ゲームループ、コンポーネント、イベントなど | 設計パターンを個別に解説 | 販売店で確認 |
HLSL シェーダーの魔導書 | シェーダー、PBR、レイトレーシングなど | HLSLの実例を深掘り | 5,060円(税込) |
£120は出版社カタログ価格で、紙版2巻セットの参考価格です。5,060円は税込定価。実売価格は時期や販売店によって変わります。Game Programming Patternsの価格は販売店でご確認ください。
4冊はそれぞれ、エンジン全体の構造・ゲームの実装・設計パターン・描画技術を扱います。自作で補いたい知識に応じて、読みどころが変わります。
エンジンの全体像
ゲームエンジンは、ゲームを動かす共通機能をまとめた仕組みです。入力・時間管理・描画・音・物理・ファイル読み込みが連携し、操作や画面を形にします。
処理の基本は入力を受け取り、ゲームの状態を更新し、その状態を描画する流れです。キャラクターの移動なら、キー入力から速度と位置を計算し、その座標に絵を表示します。
順序が曖昧だと、入力と画面の状態にずれが出ます。処理の重さによって動きが変わる場合もあります。ゲームループはエンジンの背骨となる処理。一周の流れが見えれば、機能の追加場所も判断しやすくなります。
画像や音声などの資源管理も重要です。いつ読み込み、いつ解放するか。画面を切り替えるたび同じ画像を読み直すと、待ち時間やメモリの無駄が増えます。誰が管理し、いつまで使うのかを考えておきましょう。
自作の骨組み
最初から汎用エンジンを目指さなくても大丈夫です。小さな2Dゲームで入力・ゲーム状態・描画を別々の役割として置けば、アーキテクチャの基礎を試せます。まず必要な範囲から始めましょう。
キーボード入力の処理がキャラクターの描画まで抱えると、操作方法を変えただけで描画側も修正することになります。入力側からゲームへ「右へ動く」と伝え、ゲーム側が位置を更新する。描画側は位置を受け取って表示するだけ。この分担なら変更の影響を小さくできます。
オブジェクトの中に機能を集めるか、位置や見た目、当たり判定を部品として組み合わせるかも考えどころです。後者は拡張しやすい一方、追いかける要素が増えます。規模を見て判断したいですね。
自作を始めたばかりなら、エディターや複雑な物理システムを後回しにして、起動・入力・更新・描画・終了の流れを通すと実用的です。動く最小単位を作れば、機能を足すときに置き場所を考えやすくなります。
C++の役割
C++では処理の速さに加えて、メモリ上のデータを誰が所有し、いつまで使うかも設計します。画像を複数のオブジェクトで使うなら、解放する責任を一か所にまとめるなど、寿命をコードに反映する工夫が欠かせません。
生ポインターを広く渡すと、解放漏れや二重解放が起きたときに原因を追いにくくなります。所有者が一つならスマートポインターを使う。複数箇所で共有するなら、その理由を明確にしましょう。C++の仕組みと構造を結びつけると、管理の安全性を高められます。
抽象化を急ぐと呼び出し経路が複雑になり、動作を追いづらくなることがあります。まず必要な機能を実装し、同じ処理が複数箇所に現れた段階で共通化する。この進め方なら扱いやすいでしょう。
C++の標準やコンパイラの機能も更新されます。C++23まで扱う本なら、新しい言語機能に触れられます。ただし学びの中心は仕組みの理解です。機能名を覚えて終わらず、所有権や依存関係がコードにどう表れるかを読み取りましょう。
全体を学ぶ本
『Game Engine Architecture: Two Volume Set』はJason Gregoryによる第4版の英語書籍です。2026年発行の全1,424ページ、ペーパーバック2巻セット。エンジンの基礎やコアシステムから、3D描画・ライティング・アニメーション・物理・音響まで幅広く扱います。
個別機能の実装に加え、エンジンを構成するサブシステム全体を学べます。C++23までの言語標準を扱うほか、未定義動作・写実的ライティング・モーションマッチングなど、第4版の更新内容も含みます。
英語の大部の技術書を読み進め、設計の見取り図を作りたい人には主教材としておすすめです。全1,424ページなので、最初から通読するより、開発中の機能に対応する章を参照すると活用しやすくなります。紙版2巻セットの参考価格は£120です。
実装で学ぶ本
『ゲームプログラミングC++』は、C++の初歩を習得した人向けの日本語書籍です。2018年刊の528ページ。ゲームループとゲームクラスを入り口に、章ごとのゲームプロジェクトと練習問題で実装を進めます。
2D・3D描画・AI・音声・入力・カメラ・衝突検知・UI・骨格アニメーションに加え、レベルファイルやバイナリデータも扱います。ゲームを動かしながら一連の構成を追いたい人にすすめやすい一冊です。
文法を習い始めたばかりなら、C++の基本を先に身につけると読み進めやすくなります。全体アーキテクチャよりも、個別機能の実装を通して経験を積む内容です。日本語でプロジェクトに取り組みたい人におすすめします。税込定価は5,060円です。
設計パターンの本
Robert Nystromの『Game Programming Patterns』は、13のゲーム向け設計パターンを個別に解説する本です。ゲームループ・コンポーネント・イベントキュー・オブジェクトプール・空間分割などを取り上げます。
パターンはシーケンス・振る舞い・疎結合・最適化の4グループに分類されています。更新処理の集中や、オブジェクト同士の直接呼び出しに困ったとき、設計を見直す糸口を探せます。
コード例はC++ですが、著者自身がC++11以降の現代的な書き方ではないとしています。各パターンが解決する問題を追えば、コードの年代に左右されず考え方を学べます。設計の引き出しを増やしたい人におすすめです。
描画を深掘り
『HLSL シェーダーの魔導書 シェーディングの基礎からレイトレーシングまで』は、グラフィックスプログラマやテクニカルアーティストを目指す人向けです。レンダリングパイプライン・シェーダー・ライティング・PBR・ポストエフェクト・シャドウなどを扱います。
付属のミニエンジンを使えば、DirectX 12のコーディングをほとんど意識せずHLSLの学習に集中できます。遅延描画・フォワード描画・コンピュートシェーダー・タイルベースレンダリング・レイトレーシングまで、基礎から応用へ進む構成です。
2021年刊の584ページで、サンプル環境はWindows 10とVisual Studio 2019です。HLSLや描画パイプラインを実例で学びたい人におすすめします。参考価格は税込5,060円です。
結論
ゲームを動かしながらC++を学びたいなら、『ゲームプログラミングC++』をおすすめします。英語でエンジン全体を深く学ぶなら、『Game Engine Architecture』が第一候補です。前者は実装、後者は全体像の理解を助けます。
設計上の悩みを整理するなら『Game Programming Patterns』、描画やHLSLを深めるなら『HLSL シェーダーの魔導書』がおすすめです。最初の一冊には、今作りたい機能に直結する本を選ぶと、読んだ内容を実装に移しやすくなります。
完成を急がず、入力から更新・描画までを自分の言葉で説明できる小さな構造から始めましょう。機能を一つずつ加えれば、読書で得た知識がコードに生き、C++の設計力も伸びていきます。
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