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FCFを確認すると、本業で得た現金と事業への投資を一緒に見られます。決算書から読み取れる会社の姿が、少し変わってくるはずです。
FCF本の早見表
紹介する本は、財務3表を基礎から学ぶ入門書から、FCFで企業価値を評価する本まで幅があります。扱う内容を一覧にしました。
| 本 | 主な内容 | 参考価格(税込) |
|---|---|---|
60分でわかる! 財務3表 超入門 | 財務3表、営業CF、FCF、運転資金 | 1,540円 |
一番役に立つファイナンス プロが教える企業価値最大化のコツ | FCF、運転資本、投資判断、企業価値 | 1,760円 |
[決定版] 新・ほんとうにわかる経営分析 | 営業CF、運転資金、設備投資、CF計算書 | 2,420円 |
企業価値評価【入門編】 | FCF予測、DCF法、株主価値の算定 | 2,640円 |
価格は税込の定価を目安にしています。実際の販売価格は時期や店によって変わるため、購入時には書店で確認してください。
財務諸表の用語にまだ慣れていない人は、財務3表の基本から読むと理解しやすいでしょう。経営分析や企業価値評価を扱う本は、その先の学習に役立ちます。
FCFの基本
フリーキャッシュフローは、事業で得た現金から、事業を続けたり成長させたりするための投資を差し引いた残りです。FCFと略され、会社の現金創出力を見る目安になります。
手始めに試算するなら、営業キャッシュフローから設備投資額を差し引きます。営業CFは本業で得た現金の流れ、設備投資は工場や店舗、システムなどを取得する支出です。まずはこの形で決算書を見てみましょう。
営業CFが100億円で設備投資が40億円なら、単純計算のFCFは60億円です。利益額とは別に、投資後にどれだけ現金が残るかが見えてきます。
ただし、FCFには複数の計算方法があります。営業CFから設備投資を引く簡便な見方と、企業価値評価で使う定義は異なることがあるため、銘柄を比べる際は算定基準をそろえてください。
利益と現金の差
損益計算書では、売上を計上しても代金の入金は後になる場合があります。帳簿上は利益が出ているのに現金がまだ入っていない。その差は売掛金の増加に表れます。
在庫にも目を向けましょう。仕入れた商品や原材料は、売れるまでは現金が形を変えて残っている状態です。売上の伸びと比べて在庫が急増していないか、売掛金や買掛金と合わせて確かめます。
減価償却費は、設備の取得費用を使う期間に分けて計上する費用です。その期に同額の現金が出ていくわけではありません。営業CFでは、現金の動きに近づける調整の中で減価償却費を扱います。
設備の購入時には現金が出ていきます。減価償却費を利益に足し戻しても、実際の設備購入に使った現金は別に考える必要があります。営業CFと設備投資を合わせて見るのが、FCF分析の基本です。
数字を読む軸
単年度のFCFだけで会社を評価せず、まず過去数年の推移を確かめます。大きな設備投資をした年は数字が落ち込み、その後に持ち直すこともあります。増減の理由も決算資料で確認しましょう。
売上高に対するFCFの割合は、FCFマージンと呼ばれます。売上規模が異なる会社の現金創出力を比べる参考になりますが、業種が違えば必要な投資額も変わるため、横並びの比較には注意が必要です。
営業CFが安定していてFCFが赤字なら、成長に向けて投資を続けている可能性があります。投資を先送りしてFCFが高く見える場合もあるので、設備の状態や今後の投資計画まで見ると判断が変わります。
FCFが黒字でも安心とは限りません。一時的な利益や資産売却で数字が押し上げられることもあります。有価証券報告書や決算資料で背景を確かめ、継続して生み出せる現金かを考えましょう。
具体例で計算
架空の小売会社Aは営業CFが120億円、設備投資が50億円です。単純計算のFCFは70億円。会社Bは営業CF100億円、設備投資20億円で、FCFは80億円になります。
この年はBのFCFが大きく見えます。ただ、Aが新店舗を出す成長局面なら、その投資が将来の売上につながる可能性があります。Bが投資を抑えすぎている場合は、店舗の競争力が落ちる心配もあります。
営業CFの推移や投資の目的、その後の売上・利益を一緒に確認します。数字の大小だけで順位をつけず、現金が残った背景まで読むことが個別株分析の助けになります。
個別株の注意点
キャッシュフロー計算書は、営業活動・投資活動・財務活動の三つに分かれています。営業CFは本業の現金収支、投資CFは設備や資産の取得・売却、財務CFは借入や返済、配当などの動きです。
FCFがマイナスでも、成長のために工場や店舗へ投資しているなら、すぐに悪材料とは限りません。設備投資後に売上や利益が伸びているかを確かめ、借入金の増加も続いていないか見てください。
反対に、FCFがプラスでも売掛金の回収が遅れたり、在庫が積み上がったりすれば資金繰りは悪化します。営業CF、借入金、現金残高を並べ、資金に余裕があるか確認しましょう。
銀行や保険会社では、貸付や運用そのものが本業に関わります。そのため、一般企業と同じFCF分析がなじみにくい面もあります。FCFを軸に個別株を調べ始めるなら、まず事業会社から見ると理解しやすいでしょう。
財務3表から学ぶ
『60分でわかる! 財務3表 超入門』は、高良明著、技術評論社刊。2024年7月16日発売の160ページで、財務分析を始める人が財務3表の基本とつながりを学べます。
貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書の仕組みに加え、営業CFやFCFの創出度合いを扱います。売掛金、仕入債務、在庫などの運転資金や、固定資産の分析も取り上げています。
財務用語にまだ慣れていない初心者には、FCF分析の入口になる一冊です。160ページと比較的コンパクトで、財務3表の全体像をつかみたい人に役立ちます。
ファイナンスを学ぶ
『一番役に立つファイナンス プロが教える企業価値最大化のコツ』は石野雄一著、ソシム刊。2024年8月30日発売、208ページで、基礎から企業価値評価へ進む内容です。
FCFの考え方や算定に加え、減価償却費を加算する理由と運転資本の増減を扱います。NPV、IRR、回収期間法など投資判断の手法も収録。会社の現金創出力を投資判断へ結びつけて学べます。
FCFが動く理由を詳しく知り、企業価値評価まで学びたい人に合います。参考価格は税込1,760円です。
経営分析を深める
『[決定版] 新・ほんとうにわかる経営分析』は高田直芳著、ダイヤモンド社刊。2016年2月発行、336ページで、キャッシュフロー計算書を含む経営分析を扱います。
利益と営業CFの比較、売掛債権や在庫、正味営業運転資金、設備投資などが主なテーマです。FCFや資金運用表も取り上げ、現金の増減を企業経営の動きと合わせて分析します。
算式に加えて営業活動や設備投資の中身を掘り下げたい人に役立ちます。336ページと情報量があり、基礎を学んだ後に分析の幅を広げられる一冊です。参考価格は税込2,420円です。
DCF評価を学ぶ
『企業価値評価【入門編】』は鈴木一功著、ダイヤモンド社刊。2018年10月発行の272ページで、FCFを企業価値評価に活用する方法を解説しています。
過去の財務諸表を組み替え、投下資産、NOPLAT、FCF、ROICを順に扱います。将来の損益計算書や貸借対照表からFCFを予測し、エンタプライズDCF法やマルチプル法で企業価値・株主価値を算定します。
決算書から将来の現金を見積もり、企業価値や株主価値の評価まで学びたい人に合います。財務3表とFCFの基本を押さえてから読むと、予測と評価の流れを追いやすくなります。参考価格は税込2,640円です。
結論
FCFを見ると、利益が現金として残っているか、事業投資を続けながら資金を生み出せているかを確かめられます。単年の黒字・赤字だけで決めず、営業CFと投資の背景も合わせて読みましょう。
初心者は財務3表を扱う本から始めるとFCFの基礎をつかみやすく、その後に経営分析や企業価値評価へ進めます。決算書の数字を株式投資の判断につなげる流れです。
学んだ内容を使い、気になる会社の有価証券報告書で営業CFと設備投資を複数年にわたって試算します。FCFを万能な答えとせず、事業の現金創出力を確かめる軸として活用してください。
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