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組み込み機器の開発では、電源投入直後の電流やスリープ中の消費電流を追う場面があります。数値が少しずつ動くと、画面を見ているだけでは経過を残しにくいもの。USB接続とログ機能を備えた卓上デジタルマルチメーターなら、測定値の推移をあとから確認できます。
機種を比べるときは、測定確度とあわせて、ログを本体に残すかPCへ送るかも見ておきたいところです。4機種の主な仕様を早見表にまとめました。
早見表
| 機種 | 表示・DC電圧確度 | 本体での記録 | 主なPC接続 |
|---|---|---|---|
OWON XDM1041 | 4½桁・55,000カウント、±(0.05%+5カウント)(500.00 mV、5.0000 V、50.000 Vレンジ) | 最大1,000点 | USB Device、SCPI |
SIGLENT SDM3055 | 5½桁・240,000カウント、0.015%(1年) | 1 GB NAND、USBメモリー | USB Device・Host、LAN |
| Keysight 34461A | 6½桁、35 ppm(1年) | 最大10,000 readings | USB、LAN |
Keithley DMM6500 | 6½桁、0.0025%(1年) | USBメモリーへCSV保存 | USB、LAN接続(LXI) |
卓上機とログ
卓上機なら、机上で測定値を読みながら推移を記録できます。電源回路の待機電流や、ファームウェア更新後の消費電流を見比べる試験に使えます。
ログの使い勝手は記録点数と間隔の組み合わせで決まります。たとえば1,000点でも間隔を短くすれば数秒から数分の変化を追えますし、広げれば長時間の傾向を残せます。
USB DeviceはPCとの通信、USB HostはUSBメモリーへの保存に使います。LAN経由で測定値を集める機種もあり、PCとの連携方法や机上の配線を考えるときに役立ちます。
参考価格は販売店や時期で変わり、為替や在庫状況も価格差に関わります。発注時点の価格を確認し、必要なログ点数や確度、PC制御に対する費用を比べてください。
開発で効く記録
たとえば、マイコンをスリープと復帰に切り替えながら電流を見る試験では、ログがあると測定後に値の推移をたどれます。条件を変えた結果も見比べやすくなり、手書き記録を確認する手間が減ります。
USBでPCへ記録すれば、測定値を表計算ソフトや解析環境に渡しやすくなります。SCPI対応機はコマンドで測定や機器設定を制御でき、定型試験の自動化にも使えます。
表示桁数と測定確度は別の指標です。桁数が増えると細かな変化を表示しやすくなりますが、確度は別に確認する必要があります。
起動時の急な電流変化や短いパルスを捉えるには、ログ間隔とサンプル速度を両方見ます。さらに短い時間変化を調べるなら、デジタイザーやオシロスコープを組み合わせる方法もあります。
XDM1041の特徴
OWON XDM1041は4½桁、55,000カウントの表示を備えます。DC電圧の基本確度は500.00 mV、5.0000 V、50.000 Vの各レンジで±(0.05%+5カウント)。短めのログと基本的な電圧・電流測定を一台で行いたい人におすすめです。
DC電圧は50 mVから1,000 V、真のRMS AC電圧は500 mVから750 Vまで測れます。電流は500 μAから10 A、抵抗は500 Ωから50 MΩ。周波数、容量、温度、ダイオード、導通にも対応します。
本体のデータロギングは最大1,000点で、間隔は15 msから9,999.999 sまで設定可能です。短い変化を追う設定から長時間の推移を記録する設定まで、試験に応じて調整できます。
PC接続はUSB DeviceとSCPIに対応。ソフトウェアは公式サイトからダウンロードして使い、製品には付属しません。基本的な卓上ログを始めたい人にとって、手頃な価格帯も魅力です。
SDM3055の特徴
SIGLENT SDM3055は5½桁、240,000カウントで、DC電圧の基本確度は1年仕様で0.015%です。XDM1041より細かな表示と高い確度を求め、PCへ測定値を継続して集める開発におすすめします。
DC電圧は200 mVから1,000 V、真のRMS AC電圧は200 mVから750 Vに対応します。抵抗は2線式と4線式で測定でき、レンジは200 Ωから100 MΩです。小さな抵抗値を扱う試験にも使えます。
測定速度は最大毎秒150 readings。本体の1 GB NANDフラッシュには設定や履歴データを保存でき、外付けUSBメモリーにも測定値を保存できます。EasyDMMを使えばPCでの記録、収集、監視も可能です。
USB DeviceとUSB Host、LANを備え、PC制御にはSCPIを利用できます。複数機器の連携やLAN経由の記録にも対応。GPIBが必要なら、対応するSDM3055Aとの仕様差を確認してください。
34461Aの特徴
Keysight 34461Aは6½桁表示で、DC電圧の基本確度は1年仕様で35 ppmです。細かな電圧差を評価し、本体にも測定履歴を残したい開発者におすすめします。
内部メモリーには最大10,000 readingsを保存できます。データロギングモードとトレンドチャートも備え、PCを常時つなぎにくい試験でも、本体で履歴や変化の傾向を確認できます。
測定速度は最大毎秒1,000 readings。DC電圧は100 mVから1,000 V、AC RMS電圧は100 mVから750 Vです。電流はAC・DCとも100 μAから10 Aで、抵抗測定は2線式と4線式に対応します。
USBとLANは標準装備で、GPIBはオプションです。USBで手元のPCにつなぐ方法と、LANで試験環境に組み込む方法を選べます。最大10,000点の記録を評価業務に活用したい人に合う機種です。
Keysight 34461A
Amazonで探すDMM6500の特徴
Keithley DMM6500は6½桁表示で、DC電圧の基本確度は1年仕様で0.0025%。感度は100 nV、10 pA、1 μΩです。低電圧や小さな電流、微小な抵抗差を測る評価に使えます。
測定機能は最大15種類。DC・AC電圧と電流、2線式・4線式抵抗、容量、温度、周波数などを測定できます。4線式測定ではテストリード抵抗の影響を抑えられ、低抵抗の評価にも便利です。
16 bitのデジタイザーは最大毎秒100万サンプルに対応します。値の推移をログで追うほか、過渡的な変化を波形として取り込む用途にも使えます。
測定バッファーはUSBメモリーへCSV保存できます。PCではKickStartでデータ収集や可視化を行い、長期ログを自動エクスポートできます。USBとLAN接続(LXI)は標準で、GPIBやRS-232などはオプションです。
結論
短いログを手頃な卓上機で取り、電圧・電流・抵抗の基本測定も一台で行うなら、OWON XDM1041がおすすめです。PCソフトの導入と最大1,000点の記録で足りるかを確認してください。
表示分解能とPC記録の柔軟さを求めるならSIGLENT SDM3055、本体のトレンド表示と6½桁を重視するならKeysight 34461Aが合います。低レベル信号や長期ログ、デジタイズまで扱う開発にはKeithley DMM6500を選ぶとよいでしょう。
必要な確度、測定速度、ログの保存先を実際の試験に照らして決めると、機種を絞りやすくなります。USB接続の先にある記録方法まで想定しておけば、導入後の運用も具体的に考えられます。
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