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組み込み開発でNFCリーダーライターを試すとき、PC/SC対応だけを見て決めると、読みたい規格やアンテナの配置が合わないこともあります。FeliCaからどこまで情報を読みたいかも、先に押さえておきたいですね。
今回はソニーのPaSoRi、ACS、HIDから5機種を紹介します。PC/SCでカード処理を試すUSB型から、アンテナを筐体に組み込めるモジュールまで、開発段階に合わせて見比べられるようまとめました。
早見表
各機種の対応規格、接続、主な機能を一覧にしました。通信速度や読み取り距離は公称の最大値です。実際の結果はカードやタグ、周囲の環境によって変わります。
| 製品 | 主な対応規格・機能 | 接続・開発面の特徴 |
|---|---|---|
PaSoRi RC-S300/S1 | FeliCa、ISO/IEC 14443 AおよびB、15693 | PC/SC 2.0、ソニーのAPI、約20mm |
ACR1252U | FeliCa、A/B、NFC、MIFARE | PC/SC、NFC Forum認証、最大424kbps・50mm |
ACR1552U | FeliCa、A/B、15693、NFCなど | PC/SC、最大848kbps・70mm、カードエミュレーション |
| ACS ACM1552U-Y3 | FeliCa、A/B、15693、NFCなど | 分離アンテナ、最大848kbps・70mm |
OMNIKEY 5022 CL | A/B、15693、MIFARE、FeliCaのUID | PC/SC、FIDO2 NFCトークン対応 |
USB端子やケーブルの扱いも機種ごとに異なります。価格は販売時期や販路で変わるため、購入時の表示を確かめ、オプションのケーブルが必要な機種は費用に含めて見積もりましょう。
FeliCaのサービス領域を読み書きするのか、NFCタグの動作を幅広く試すのか。目的を先に整理しておくと、候補を絞りやすくなります。
RC-S300/S1
ソニーのPaSoRi RC-S300/S1は、FeliCaのほか、ISO/IEC 14443 Type AとB、ISO/IEC 15693にも対応するUSBリーダーライターです。複数規格のカードを試す用途に便利ですね。
PC/SC Ver. 2.0で利用でき、FeliCaライブラリーとカードコマンドライブラリーも使えます。WindowsとmacOSに対応。ソニーのAPIを使う開発環境なら、検証を進めやすいでしょう。
通信距離は機器の外装面から約20mmです。広い読み取り距離が必要な試験には足りませんが、卓上で読取位置を決めて確かめる用途には使いやすい仕様です。
USB micro-B接続で、付属ケーブルはmicro-BからUSB Type-Aへ、長さは約70cm。Type-C端子のPCに接続する場合は、手元の環境に合う方法か確認しておきたいところです。
ACR1252U
ACSのACR1252Uは、NFC Forum認証を受けたUSB NFC Reader IIIです。FeliCaとMIFAREのほか、ISO/IEC 14443 Type AおよびB、ISO/IEC 18092のNFCタグも試せます。
読み書き機能に加え、カードエミュレーションとP2Pモードを備えています。PC/SCとUSB CCIDを利用でき、Windows、Linux、macOS、Solaris、Androidに対応。複数OSでの評価にも便利ですね。
最大速度は424kbps、読み取り距離は最大50mmです。どちらもタグの種類に左右されます。ACR1552Uより公称値は控えめですが、認証済み機種やサンプルコードを使って評価を始めたい場面に合います。
SAMスロットとファームウェア更新機能も搭載。Java、Visual Basic .NET、Visual C++ .NETのPC/SC準拠サンプルがあり、カード処理の流れを手元で試しやすい機種です。
ACR1552U
ACSのACR1552Uは、FeliCaのほか、ISO/IEC 14443 AおよびB、15693、18092、MIFARE、Topazなど幅広い規格に対応します。カードの読み書きや複数のNFC動作モードを検証したいときに活躍します。
最大848kbps、読み取り距離は最大70mm。実際の結果はタグ次第ですが、ACR1252Uより高い公称速度と距離を備えています。タグや配置条件を変えた評価にも使いやすい仕様ですね。
PC/SCとUSB CCIDに対応し、サンプルコードはJava、Visual Basic .NET、Visual C#、Visual C++で利用できます。ISO 7816 Class A対応のSAMスロットを備え、拡張APDUは最大64KBまで扱えます。
カードエミュレーションのほか、キーボードエミュレーションにも対応。USB Type-A版とType-C版があり、評価用PCの端子に合わせられる点も実務上の利点です。
ACM1552U-Y3
ACM1552U-Y3はACSのUSB NFCリーダーモジュールです。メインボードとアンテナボードを分けられる構造で、アンテナを筐体の前面に置く組み込み構成を試したいときに使えます。
対応規格はACR1552Uに近く、FeliCa、ISO/IEC 14443 AおよびB、15693、18092、MIFARE、Topazなど。読み書き機能、カードエミュレーション、キーボードエミュレーションにも対応します。
最大848kbps、読み取り距離は最大70mmです。PC/SCとUSB CCIDを利用でき、拡張APDUは最大64KB。ファームウェア更新にも対応しており、製品に近いアンテナ配置で試作したい場合に便利でしょう。
メインボードは55×45×6.5mm、アンテナボードは91×49.5×5mmで、重量は約27.7gです。USBケーブルはオプションなので、必要な場合は別途用意してください。SAMスロットは要望時の対応です。
OMNIKEY 5022
HIDのOMNIKEY 5022 CLはUSB Type-A接続のデスクトップ型リーダーです。MIFARE、iCLASS、ISO/IEC 14443 AおよびB、15693のカードに加え、FIDO2 NFCトークンの読み書きにも対応します。
PC/SC APIとOS標準CCIDに対応し、Windows、Linux、macOSで利用できます。ケーブルは約150cm、筐体は約59×59×11.4mm、重量は約70g。机上で読取試験を行う際にも扱いやすいサイズです。
FeliCaで読み書きできるのはUIDに限られます。サービス領域の読み取り試験には適さないため、そこまで扱う場合はPaSoRiやACSの機種を候補にしてください。
NFCタグのNDEF形式を読み書きするには別ソフトウェアが必要です。ISO/IEC 14443 AおよびBは最大848kbps、15693は最大26kbpsですが、カードによって通信速度は変わります。
結論
FeliCaの検証を手早く始めるなら、ソニーのAPIとFeliCaライブラリーを利用できるPaSoRi RC-S300/S1がおすすめです。ISO/IEC 15693にも対応し、複数規格を試す用途にも使えます。
NFCの動作モードや対応規格の広さを重視するならACS ACR1552Uが合います。NFC Forum認証とPC/SCサンプルを重視する場合はACR1252Uを検討してください。速度や距離は公称最大値です。
筐体内でアンテナ配置まで評価するならACM1552U-Y3がおすすめです。FeliCaのUID確認やFIDO2 NFCトークンの試験が中心なら、OMNIKEY 5022 CLも選べます。
まずは対象カードの規格と取得したい情報を確認しましょう。PC/SCの対応OSやSDK、アンテナ構造も照らし合わせ、実機とケースに近い構成で試すと判断しやすくなります。
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