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FFTの式は追えても、スペクトルの山が何を示すのか、フィルターを通すと信号がどう変わるのか。学び始めは、こうした疑問で手が止まりがちです。読む本は、理論を順に理解したいか、コードを動かしたいかで選び分けられます。
PythonやCでFFTを実装する本は、扱う処理が似ていてもコードの見え方が違います。Pythonはデータを試しやすく、Cは処理の手順を細かく追いやすい。得意分野が分かれますね。
音声のスペクトル分析と画像の2次元フィルターでは、扱うデータも実習の流れも異なります。自分が試したい題材に近い本なら、学んだ内容を手元の課題につなげやすくなります。
FFTやFIR・IIRフィルターの実装を学べる本から、数式や基礎を固める本までを集めました。まずは早見表で全体像をつかめます。
早見表
| 書名 | 学べる軸 | 参考価格(税込) |
|---|---|---|
Python対応 ディジタル信号処理 | Python、FFT、FIR・IIR、2次元処理 | 3,850円 |
C言語による はじめて学ぶ信号処理 | C、FFT、窓関数、フィルター | 2,640円 |
Pythonで学ぶ実践画像・音声処理入門 | Python、音声・画像データ | 2,750円 |
ひたすら楽して音響信号解析 – MATLABで学ぶ基礎理論と実装 – | MATLAB、音響信号の解析 | 2,860円 |
ディジタル信号処理(第2版・新装版) | 数学の基礎、FFT、フィルター理論 | 2,640円 |
表の価格は税込の参考価格です。実売価格は時期や販売店によって変わるため、注文時に現在の価格を確かめてください。いずれも紙版ですが、判型やページ数、扱う言語はそれぞれ異なります。
PythonやCのプログラムを試したい人には実装中心の本、音響解析が目的の人にはMATLABの本が候補です。数学から読み直したい人には理論中心の一冊を紹介します。
PythonでFFTを動かす
森北出版の『Python対応 ディジタル信号処理』は樋口龍雄監修、阿部正英・八巻俊輔・川又政征共著です。2021年刊行のB5判で、256ページあります。離散フーリエ変換からFFT、デジタルフィルタリングまで、Pythonのプログラム例を通して学べます。
FIRフィルターの設計に加え、IIRの間接設計と直接設計も扱います。式や用語を覚える段階から、設計方法と実装の関係まで理解したい人におすすめです。Pythonで計算し、出力を確かめながら進められます。
内容は1次元信号にとどまりません。2次元信号のフーリエ変換や2次元デジタルフィルターも収録しているため、音声から画像へ学習範囲を広げたい人にも合います。扱う範囲が広く、腰を据えて学ぶタイプの本です。
PythonでFFTとフィルター設計をまとめて学ぶなら、まず検討したい一冊です。参考価格は3,850円(税込)で、紹介する5冊の中では最も高め。扱う範囲とプログラム例の多さを重視する人におすすめします。
画像・音声を扱う
『Pythonで学ぶ実践画像・音声処理入門』は伊藤克亘・花泉弘・小泉悠馬共著のA5判、190ページです。音声、画像、ビデオのデータを題材に、Pythonで処理結果を確かめます。各章に問題があり、巻末にはヒントも掲載されています。
音声ではフーリエ変換や窓関数、IIRフィルターを取り上げ、画像では2次元フーリエ変換とフィルター処理を学びます。FFTの計算に加えて、実際のデータをどう扱うかまで手を動かしたい人におすすめです。
Pythonの関数・引数・ループの知識に加えて、高校数学と大学初年次程度の微積分・線形代数・統計の基礎が前提です。フーリエ変換を知っていると理解しやすくなります。数学やプログラミングをこれから始める人は、基礎を補いながら進めるとよいでしょう。
サンプルはMac OS Sierra上のAnaconda 4.4.0、Python 3.5をベースに動作確認されています。参考価格は2,750円(税込)。音声と画像の両方をPythonで試したい人にすすめたい本です。
C言語で理解する
コロナ社の『C言語による はじめて学ぶ信号処理』は大石邦夫著。2013年刊行のA5判で、186ページあります。C言語でDFT・IDFT、FFT・IFFT、窓関数、スペクトル分析を学べます。Cで信号処理の手順を追いたい人におすすめです。
FIR・IIRフィルターの設計と構成も取り上げ、数式による理論解説と章末問題を収録しています。サンプルプログラムと問題の解答はダウンロード可能。コードを動かし、理解を確かめながら読み進められます。
Pythonのライブラリーなら短い記述でFFTを計算できます。Cのコードを読むと、処理の手順を細かく追えます。組み込み機器などでCを使う予定がある人には、学んだ構文や配列処理を実装へつなげやすいのも利点です。
参考価格は2,640円(税込)。Cの基本文法を知っていて、FFTやフィルターの仕組みを演習で確かめたい人におすすめです。Pythonで手早く可視化したい人には、別の本が合います。
音響解析を深める
森勢将雅著『ひたすら楽して音響信号解析 – MATLABで学ぶ基礎理論と実装 –』は、2021年刊行のA5判、196ページです。MATLABで音響信号を分析し、大きさや高さなどの情報を取り出す流れを学びます。音を題材に取り組みたい人におすすめです。
数式の導出とMATLABの実装例が対応しているため、式を読み、プログラムを動かして考え方を確かめられます。FFTによるスペクトル解析、窓関数、デジタルフィルターを扱います。
前提は大学1・2年次程度の微分積分、線形代数、複素解析と、MATLABの文法を理解し入門チュートリアルを終えた程度の知識です。章末課題はなく、例題プログラムを動かして学びます。自分で問題を解く演習を重視する人は、この点も確認してください。
参考価格は2,860円(税込)。MATLABを使える環境があり、音響解析を数式から理解したい人におすすめです。PythonやCでFFTを学びたい人や画像処理も試したい人には、別の本をすすめます。
理論を整理する
『ディジタル信号処理(第2版・新装版)』は萩原将文著、2020年刊行の菊判160ページです。概念図を使った直観的な説明で、テイラー展開やフーリエ変換など数学の基礎から学べます。理論を初歩から学びたい人におすすめです。
DFTとFFT、デジタルIIR・FIRフィルターに加え、相関関数、線形予測、適応信号処理も扱います。第2版では演習問題が拡充されました。説明を読んで問題を解き、理解度を確かめながら進められます。
特定の言語によるコード例が中心ではありません。PythonやCで実装する前に、信号処理の用語や考え方を整理するのに適しています。プログラムも試したい人は、実装例の多い本と組み合わせられます。
参考価格は2,640円(税込)です。数式に苦手意識があり、概念図や演習を使って基礎を固めたい人にすすめます。コードをすぐ書き始めたい人は、実装練習の本も用意するとよいでしょう。
結論
PythonでFFTからフィルター設計、2次元処理まで学ぶなら『Python対応 ディジタル信号処理』が本命です。音声・画像のデータを使って演習したい人には、『Pythonで学ぶ実践画像・音声処理入門』をおすすめします。
C言語でDFT・FFTやフィルターを実装するなら『C言語による はじめて学ぶ信号処理』、MATLABで音響解析を掘り下げるなら『ひたすら楽して音響信号解析 – MATLABで学ぶ基礎理論と実装 –』が合います。理論や数学を先に固めたい人には『ディジタル信号処理(第2版・新装版)』がおすすめです。
使う言語と学びたい信号の種類を軸にすれば、選ぶ本を絞れます。コードを書くことが目的なら実装本、式の意味まで理解したいなら理論本。参考価格は時期や販売店によって変わるため、注文前に実売価格も確認してください。
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