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組み込み開発では、マイコンやセンサーがどの瞬間に電流を増やすのかを追うと、リセットや誤動作の原因に近づけます。回路を切らずに波形を見られるのが、オシロスコープ用電流プローブの強みです。
ただ、AC専用かAC・DC対応か、電流レンジや帯域、オシロスコープとの接続条件で得意分野は変わります。基板上の小電流から大きな交流電流まで、5機種の違いを見ていきましょう。
候補の早見表
測定範囲と帯域を並べると、各製品の得意な電流の大きさや速さが見えてきます。小電流を細かく見る製品もあれば、大電流を対象にしたモデルもあります。
| 製品 | 測定範囲・帯域 | 特徴 |
|---|---|---|
Pico Technology TA018 | AC・DC 10 mA~60 A、最大20 kHz | BNC出力、最大導体径9 mm |
| Pico Technology TA326 | AC 30 A・300 A・3000 A、10 Hz~20 kHz | 長さ610 mmのフレキシブルコイル |
| HIOKI CT6710 | 0.5 A・5 A・30 A、DC~50 MHz | 微小電流向け、外部電源が必要 |
| HIOKI CT6705 | 最大500 A rms、DC~15 MHz | DC測定と大電流に対応 |
Tektronix TCP0030A | 5 A・30 A、DC~120 MHz以上 | TekVPI対応オシロスコープ向け |
この5機種のうち、交流専用はTA326です。直流成分も測れるのは、TA018、CT6710、CT6705、TCP0030Aです。
参考価格は販売時期や取扱店によって変動します。CT6710とCT6705は別電源も必要なため、費用を見積もるときは電源ユニットも含めてください。
帯域は信号の変化をどこまで追えるかの目安です。電源のゆっくりした変動と、スイッチング回路の急な立ち上がりでは、必要な帯域も変わります。
制御基板の電流
マイコン基板では、待機中の小さな電流に加えて、無線送信や演算を始めた瞬間の変化も気になりますよね。細い導体のDC成分まで観測するなら、HIOKI CT6710をおすすめします。
CT6710は0.5 A、5 A、30 Aの3レンジを備えます。出力感度は各レンジで電流1 Aあたり10 V、1 V、0.1 V。低電流レンジほど感度が高く、電流の変化を大きく表示できます。
帯域はDC~50 MHzです。マイコンの電源変動や比較的速い過渡現象を捉えられます。オシロスコープを1 mV目盛りに設定したとき、100 μA目盛りで波形を表示できる点も魅力です。
直径5 mm以下の絶縁導体に対応し、動作には外部電源が必要です。オシロスコープの入力インピーダンスは1 MΩ以上が条件。微小電流を見やすくしたい開発環境に適します。
HIOKI CT6710
Amazonで探す小電流から数十アンペアまでをBNC接続で測るなら、Pico Technology TA018もおすすめです。低レンジは10 mA~20 A、高レンジは100 mA~60 Aを測定できます。
感度は低レンジで電流10 mAあたり1 mV、高レンジで100 mAあたり1 mVです。たとえば100 mAを測ると、低レンジでは約10 mV、高レンジでは約1 mVとして出力されます。
帯域は最大20 kHz。電源ラインの緩やかな変動や低周波の電流変化を測れます。高速なスイッチング波形を細かく追う場合は、CT6710やTCP0030Aの広い帯域が必要です。
TA018は最大径9 mmの導体に対応します。9 Vのアルカリ電池で標準約100時間動作するため、別の電源ユニットを用意せずに測定できます。BNC接続するオシロスコープは入力インピーダンス10 kΩ以上が必要です。
主回路の大電流
モーターやインバーターでは、配線が太く電流も大きくなり、クランプの開口や測定上限が問題になります。交流を最大3000 Aまで測るなら、Pico Technology TA326をおすすめします。
TA326は30 A、300 A、3000 AのACレンジを備えます。コイルは長さ610 mm、プローブ径9.9 mm。フレキシブルなので、通常のクランプを閉じにくい場所でも導体に巻き付けられます。
DC電流は測れません。帯域は10 Hz~20 kHzで、規定確度を得るには入力負荷インピーダンス100 kΩ以上が必要です。大電流の交流を測る用途に合います。
電源は単3形アルカリ電池2本で、標準約2000時間動作します。外部電源にも対応し、BNC出力は3系統。測定器側の負荷条件も確認してください。
Pico Technology TA326
Amazonで探す直流を含む大電流には、HIOKI CT6705をおすすめします。最大500 A rms、最大ピーク電流は±800 Aで、ピーク値は2秒以内の条件です。帯域はDC~15 MHzです。
絶縁導体は直径20 mmまで対応し、出力感度は電流1 Aあたり0.01 Vです。500 Aでは出力が5 V相当になるため、オシロスコープの入力範囲を確認しておくと波形のクリップを防げます。
周波数によって最大定格電流が下がる点にも注意が必要です。周波数が高くなると定格いっぱいの電流を測れない場合があるため、実際の測定条件と定格を照らし合わせましょう。
CT6705は標準BNC出力ですが、動作には±12 V電源が必要です。電源ユニット3269は最大3本を駆動できます。複数箇所の電流を同時に測る設備にも組み込めます。
HIOKI CT6705
Amazonで探す高速スイッチング
スイッチング電源やモータードライバーでは、平均電流が正常でも、切り替わる瞬間に大きなピークが出ることがあります。こうした変化を追うには、電流レンジとともにプローブの帯域を確認します。
Tektronix TCP0030Aは5 Aと30 Aのレンジに対応し、帯域はDC~120 MHz以上です。細い配線の速い電流変化を捉えられます。対応するオシロスコープでは、縦軸を1 mV目盛りに設定すると1 mAの感度が得られます。
最大電流は30 A rms、ピークパルスは50 Aです。導体径は最大5.0 mm。太い主回路より、基板上の細い配線や部品リードの測定に適したサイズです。
接続にはTekVPIインターフェースを使い、電源はTekVPI対応オシロスコープから供給します。標準BNC入力には対応していません。対応機を使って高速なAC・DC波形を観測する人におすすめです。
安全定格は裸導体で150 V CAT II、絶縁導体で300 V CAT IIです。電流レンジと合わせて、回路電圧や導体の状態に合った定格か確認してください。
結論
組み込み基板の小さなDC電流や過渡現象を観測するなら、HIOKI CT6710をおすすめします。微小電流表示に対応し、外部電源と1 MΩ以上の入力条件を満たす環境で使いやすい製品です。
BNC接続で10 mAからの低周波電流を測るならPico Technology TA018。交流の大電流にはTA326、DCを含む大電流にはCT6705が適しています。
高速波形を優先し、TekVPI対応オシロスコープを使っているならTCP0030A。測定対象の最大電流、信号の速さ、導体径、入力条件を確認し、必要な電源も含めて構成を決めましょう。
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