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個別株の理論株価を考える方法の一つが、配当割引モデル(Dividend Discount Model、DDM)です。将来の配当を現在価値に直します。結果を左右するのは配当の見通しと割引率。初心者向けの本を挙げ、個別株への当てはめ方も紹介します。
本の早見表
価格は税込の定価を目安にしています。実売価格は時期や販売店によって変わるため、購入時に最新の表示をご確認ください。
| 書名 | 出版社 | 参考価格(税込) | DDMとの関連 |
|---|---|---|---|
1%の人が知っている99%勝てる株が見つかる本 | かんき出版 | 1,650円 | 11の計算、日本株の分析例 |
入門コーポレート・ファイナンス | 日本評論社 | 3,080円 | 成長モデル、ゼロ成長モデル、CAPM |
1からのファイナンス(第2版) | 碩学舎 | 2,970円 | 割引計算からDDM、CAPMへ進む構成 |
コーポレートファイナンス入門〔原書6版〕 | 丸善出版 | 5,500円 | 成長率の変化、DDMの限界、資本コスト |
証券アナリストのためのファイナンス理論 | ビジネス教育出版社 | 2,860円 | DDMと残余利益モデルによる株式評価 |
日本株の試算例を追える本もあれば、CAPMや資本コストまで学べる入門書もあります。刊行時期やページ数を並べると、各書が扱う範囲も見渡せます。
表には、計算例のほか、成長モデルや残余利益モデルなど各書が扱うテーマを記しました。収録内容は一様ではありません。
DDMの基本
DDMは将来受け取る配当を株主資本コストで割り引き、現在価値の合計から一株あたりの理論株価を見積もります。配当の受け取りが先になるほど、要求リターンが高いほど、その価値は下がります。
将来の配当をD₁、D₂、D₃……と表し、要求リターンはrとします。各年の配当を個別に割り引いて合算するのが基本です。DDMが見積もるのは一株あたりの株価です。
ゼロ成長モデルでは、一定の年間配当を要求リターンで割って理論値を出します。年間配当が50円で、要求リターンが5%なら、理論株価は1,000円です。配当が今後も変わらないという仮定を置く計算ですね。
配当が毎年一定率で伸びると仮定するのが定率成長モデルです。式はP₀=D₁÷(r−g)。D₁は来期の予想配当、rは要求リターン、gは長期成長率を表します。計算上、gはrより小さく設定します。
配当予測の壁
定率成長モデルでは、配当が同じ率で永久に伸びると仮定します。設立から間もない企業や急成長中の企業では、そのまま当てはめにくいところがあります。短期と安定成長期を分ける多段階モデルなら、成長率の変化を反映できます。
多段階モデルでは数年分の配当を個別に割り引き、安定成長に移った後の価値を加えます。たとえば7年後まで配当を予測し、その先を定率成長モデルで評価する形です。予測期間が長くなるほど、将来の見通しが計算結果を左右します。
利益が伸びても、設備投資や借入返済に現金が必要なら、配当を増やせるとは限りません。配当性向のほか、利益やキャッシュフローが配当を支えられるか、過去の減配や配当方針も確認しましょう。
無配の会社には、配当を使うDDMを直接適用できません。自社株買いを重視する会社では、配当による評価に株主還元策が反映されない場合もあります。DDM単独では個別株の価値を十分に捉えきれないことがあります。
日本企業の例がある本
『1%の人が知っている99%勝てる株が見つかる本』は、多段階配当モデルを簡略化した11の計算を紹介します。ROE別に7年後の配当を想定し、パーク24やモノタロウなど、日本株の分析例も掲載されています。
2019年刊で240頁です。紙版はプリントオンデマンド流通で、注文後に印刷・納品されます。定価は税込1,650円。書名の勝率表現は投資成果を保証するものではありません。
『入門コーポレート・ファイナンス』は出版社の難易度表示で初級です。DDMのほか、定率成長モデル、ゼロ成長モデル、要求リターン、株式コスト、CAPMを扱います。アサヒビールの企業価値評価例も掲載。2010年刊の256頁で、定価は税込3,080円です。
『1からのファイナンス(第2版)』は、時間価値やリスク、期待リターン、割引計算を学んでからDDM、CAPMへ進む構成です。2026年1月刊、304頁の幅広い入門書。第8章にはゲーム関連3社の財務分析例があり、定価は税込2,970円です。
理論の周辺まで学ぶ本
『コーポレートファイナンス入門〔原書6版〕』は、株式評価の章でDDMと複数期間の評価を扱います。配当成長率の変化や無配株を含むDDMの限界も取り上げ、CAPM、株主資本コスト、WACCまで解説。272頁の翻訳書で、定価は税込5,500円です。
『証券アナリストのためのファイナンス理論』は、CAPMなどの基礎を踏まえて、DDMと残余利益モデルによる株式評価へ進みます。ポートフォリオや債券も含む312頁の一冊です。2017年刊で、定価は税込2,860円。
どちらもDDMに加えて株式評価の周辺理論を扱っています。配当予測の手順に沿った実例を探すなら、前の3冊より収録範囲が広い点を踏まえてください。
結論
DDMを初めて学ぶ個人投資家には、『1からのファイナンス(第2版)』を基礎の一冊としておすすめします。時間価値やリスクからDDM、CAPMへ順を追える構成で、2026年1月刊。参考価格は税込2,970円です。
個別株の配当予測を試すため、計算手順や日本株の分析例も読みたい方には、『1%の人が知っている99%勝てる株が見つかる本』を加えてください。実践例を補う一冊で、参考価格は税込1,650円です。
DDMの理論株価は、将来の配当や要求リターンに置いた仮定から導く推定値です。成長率と要求リターンを変えて試算し、企業が配当を続けられる根拠と照合しましょう。個別株の候補を絞る材料になります。
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