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個別株を調べ始めると、まず売上や利益の大きさに目が向きますよね。けれど、会社の規模と、そこからどれだけ効率よく利益を生み出すかは別の話です。
営業利益率・ROA・ROEを使うと、利益の出し方と資産の使い方を分けて見られます。数字の意味がわかると、決算書に並ぶ売上や利益も銘柄分析の手掛かりになります。
3つの指標は見る対象が異なります。数値の高さだけで評価せず、利益率や資産効率が変わった理由と合わせて会社の状態を読みましょう。
本の早見表
紹介する本の得意分野と参考価格を一覧にしました。収益性指標の基礎を学ぶ本から、決算書や企業事例を掘り下げる本まで、扱う範囲はさまざまです。
| 本 | 主な内容 | 参考価格 |
|---|---|---|
株式投資で勝つための指標が1冊でわかる本 | ROE・ROAなど投資指標、企業・株価・経済分析 | 1,089円 |
60分でわかる! 財務3表 超入門 | 財務3表と収益性指標の基礎 | 1,540円 |
経営や会計のことはよくわかりませんが、儲かっている会社を教えてください! | 企業事例を通じた経営分析 | 1,650円 |
株を買うなら最低限知っておきたい ファンダメンタル投資の教科書 改訂版 | 決算資料を使った日本株分析 | 2,200円 |
企業価値向上のための 経営指標大全 | 48指標と31のケーススタディ | 4,730円 |
価格は各書籍の税込定価を目安にしています。実売価格は時期や販売店によって変わるため、購入時に店頭や販売ページで確認してください。
会計用語にまだ慣れていない人には、財務3表を扱う本が入り口になります。指標の全体像を知りたい人や、企業事例から理解したい人にも、それぞれ候補があります。
営業利益率・ROA・ROEは、売上や資産、自己資本への利益効率をそれぞれ見る指標です。各書籍で取り上げる範囲や事例にも違いがあります。
収益性の見取り図
営業利益率は売上に対する本業の利益、ROAは総資産に対する利益、ROEは自己資本に対する利益の割合です。似た比率でも分母が違えば、見えてくる会社の特徴も変わります。
利益額の大きさは会社の規模に左右されます。一方、比率にすれば、規模の異なる企業の特徴を見つけやすくなります。ただし、業種ごとに標準的な利益率は異なります。
まず一社の数年分を並べ、利益率や資産効率の変化を追います。そのあと、似た事業を営む企業と比べると、数字の意味をつかみやすくなります。急な変化には特別な要因がないかも確かめましょう。
収益性は株価の割安さや将来性をそのまま示すものではありません。利益が伸びても、株価に織り込まれている場合があります。借入金やキャッシュフローも合わせて見てください。
営業利益率
営業利益率は「営業利益÷売上高×100」で計算します。売上高100億円、営業利益8億円なら8%です。売上が伸びているのに率が下がっている場合、費用が膨らんでいる可能性があります。
率が変わったときは、値上げや仕入れ、人件費など何が動いたのかを確かめます。値上げによる改善か、費用の抑制かで続きやすさは違うため、決算短信や損益計算書も読みましょう。
物流、小売、ソフトウェアでは、必要な設備や人員、価格競争の強さが異なります。異業種の率をそのまま比べると誤解しがち。まずは同業他社との比較が基本ですね。
営業利益は本業の収益力を見る手掛かりです。ただし、利息や税金を差し引いた最終利益とは別の数字。借入金が多い会社では、営業利益率が高くても純利益が伸びにくいことがあります。
ROA
ROAは総資産利益率です。「利益÷総資産×100」で計算します。利益には当期純利益や経常利益など複数の置き方があるため、会社や資料をまたいで比べるなら計算方法をそろえましょう。
総資産には事業に使う設備や在庫、現金などが含まれます。同じ利益をより少ない資産で生み出している会社は、資産を効率よく使っていると考えられます。
総資産は期末の数値を使うほか、期首と期末の平均を使う方法もあります。大きな設備投資や買収があった年は、資産が増える時期と利益が出る時期がずれることもあり、数年の推移が参考になります。
ROAが低いからといって、すぐに事業が悪いとは限りません。工場や店舗を多く持つ業種は資産が大きくなりやすく、成長投資の最中には利益が追いつかない場合もあります。
ROE
ROEは自己資本利益率で、「当期純利益÷自己資本×100」が基本です。株主が出資した資本を使い、会社がどれだけ利益を生み出したかを見る指標として広く使われています。
ROEが高ければ資本効率のよさがうかがえます。ただし、利益が増えたときに加え、自社株買いなどで自己資本が小さくなったときにも数値は上がり得ます。
借入金を使い、総資産を自己資本より大きくしている場合も、ROEは高くなることがあります。借入金の負担や返済余力を見ずに、ROEの高さだけで安心するのは危険です。
ROEを読むときは、同じ利益を使うROAも並べてみましょう。ROEは高いのにROAが低いなら、借入金など財務構成の影響が強い可能性があります。
指標を体系で学ぶ
『株式投資で勝つための指標が1冊でわかる本』は、小宮一慶著、2021年発行、352ページの新書判です。PERやROE、ROA、配当性向、配当利回りを扱い、定価の目安は税込1,089円です。
財務諸表を使った企業分析を軸に、株価分析や経済分析にも話を広げます。収益性指標に加えて株価や経済の動きも学べるため、投資指標をひと通り知りたい人に合う構成です。
『60分でわかる! 財務3表 超入門』は、高良明著、2024年発行の160ページ。貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書の読み方を基礎から扱い、定価の目安は税込1,540円です。
売上高営業利益率や売上総利益率に加え、ROA、ROEにも触れます。売買の手法を身につける本というより、決算書の用語や数字に慣れるための基本を押さえる一冊です。
事例で深掘り
『経営や会計のことはよくわかりませんが、儲かっている会社を教えてください!』は、川口宏之著、2020年発行、240ページです。定価の目安は税込1,650円。企業の決算書を比べながら、経営分析の基本を解説します。
営業利益率ではヤマト運輸と佐川急便、ROEでは村田製作所とTDKを例に取り上げます。身近な企業の事業や決算と指標を結びつけて学べるので、数字を具体的にイメージしやすいでしょう。
『企業価値向上のための 経営指標大全』は、大津広一著、2022年発行の556ページです。48の重要指標と31のケーススタディを収録。定価の目安は税込4,730円です。
ROE・ROAの算出や分解、指標同士の関係に加えて、営業利益率をカルビー、キーエンス、ヤオコーなどの事例で解説します。食品スーパー4社の比較もあり、企業ごとの違いまで掘り下げたい人に適した一冊です。
個別株へ結ぶ
『株を買うなら最低限知っておきたい ファンダメンタル投資の教科書 改訂版』は、足立武志著、2019年発行、264ページのA5判です。会社四季報や決算短信、財務諸表を使った銘柄分析を扱い、定価の目安は税込2,200円です。
ROEとROAを併せて、レバレッジ経営の影響を見極める考え方も取り上げます。事業別の売上・利益や海外売上の割合にも目を向け、比率を実際の銘柄分析につなげたい人に合います。
指標の意味を知るだけでなく、決算資料から企業の収益源や成長の背景を読む構成です。日本株の個別銘柄を選ぶための分析を学びたい初心者にも、具体的な手掛かりを得やすい一冊でしょう。
結論
会計が初めてなら、最初の一冊は『60分でわかる! 財務3表 超入門』が堅実です。財務3表の基礎と収益性指標を一緒に学べます。すでに決算書に慣れている人には、指標を広く扱う『株式投資で勝つための指標が1冊でわかる本』が候補です。
個別株の決算資料まで読み進めたいなら、『ファンダメンタル投資の教科書 改訂版』で分析手順をつなげられます。企業事例を重視する人には川口宏之著、指標を深く掘り下げたい人には『経営指標大全』が合います。
営業利益率は本業の稼ぐ力、ROAは資産の効率、ROEは株主資本に対する収益性を見る指標です。決算の中身や財務状況も確かめ、個別株の購入判断につなげましょう。
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