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ROEの高い銘柄を見ると、稼ぐ力も強そうに映りますよね。でも率の高さだけでは判断できません。利益の増加が押し上げたのか、借入や自己資本の縮小が関わったのかで意味は変わります。
日本株の分析を始めたばかりなら、ROEの式を押さえたうえで決算資料に根拠を探しましょう。三つの要因に分解するデュポン分析を使えば、数字の背景が見えてきます。
本の早見表
| 本 | 著者・刊行年・ページ | ROE分析との接点 | 定価目安(税込) |
|---|---|---|---|
たった10日で決算書がプロ並みに読めるようになる!会計の教室 | 林總・2020年・240ページ | ROA、ROE、財務レバレッジの入門 | 1,650円 |
株を買うなら最低限知っておきたい ファンダメンタル投資の教科書 改訂版 | 足立武志・2019年・264ページ | 日本株の銘柄分析、ROAとの併用 | 2,200円 |
企業価値がわかる 財務分析講座 | 辻本臣哉・2025年・168ページ | ROE、株主資本コスト、株価評価 | 2,530円 |
企業価値向上のための 経営指標大全 | 大津広一・2022年・556ページ | デュポン分析と日本企業の事例 | 4,730円 |
ファイナンシャル・マネジメント 改訂3版 | ロバート・C・ヒギンズ著、グロービス経営大学院訳・2015年・552ページ | ROEの三要因と財務分析を体系化 | 4,840円 |
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会計用語から学ぶなら『会計の教室』が入り口。日本株の決算資料を使った銘柄分析まで進むには、『ファンダメンタル投資の教科書』が実践的です。
企業価値や株価評価まで学べる本、デュポン分析の事例を掘り下げる本もあります。今知りたい内容から読み始めると、学んだことを決算資料で確かめやすくなります。
ROEの基礎
ROE(自己資本利益率)は自己資本に対して当期純利益をどれだけ生み出したかを示す指標です。式は当期純利益÷自己資本×100。株主のお金を使う効率を表します。
自己資本100億円に対して当期純利益が8億円なら、ROEは8%。単純な計算ですが、株価の上昇率や利益の成長率とは別の指標です。会社の稼ぐ力を見る材料の一つですね。
日本株の決算資料では、連結の当期利益や親会社株主に帰属する持分など、採用する項目によって数値が異なる場合があります。会社間で比べる際は、同じ項目で計算します。
期末の自己資本だけを使うと、期中の増資や自社株買いの影響が出ることも。期首と期末の平均を使う方法も一般的です。公表ROEと自分の計算がずれたら、まず使った項目を確かめましょう。
デュポン分析
デュポン分析はROEを三つに分ける方法です。売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)×総資産回転率(売上高÷総資産)×財務レバレッジ(総資産÷自己資本)で構成します。
売上高当期純利益率は、売上のうち最終利益が何割残るかを表します。値上げや商品構成の改善で上がり、原材料費や人件費が増えれば下がることも。利益の出し方が見える数字です。
総資産回転率は保有資産をどれだけ売上につなげたかを示します。設備や在庫、現預金の多い会社では低くなりやすく、業種ごとの事業構造も映す指標です。
財務レバレッジは、自己資本に対する総資産の倍率です。借入などを使って資産を増やせば倍率は高まる一方、利益が落ちた際の負担も増します。
利益率5%、総資産回転率0.8回、財務レバレッジ2倍ならROEは8%です。利益率8%、回転率0.5回、レバレッジ2倍でもROEは8%。同率でも稼ぎ方は違います。
ROEの注意点
ROEは利益が増えると上がりますが、自己資本が小さくなっても上昇します。分子の利益と分母の自己資本を一緒に見ず、それぞれ確かめるのが基本です。
赤字や大きな損失の後に自己資本が減ると、翌期のROEが急に高く見えることがあります。自己資本がごく少ない会社や債務超過の会社は、ROEだけでは実態をつかみにくいものです。
自社株買いや配当で自己資本を圧縮すると、利益がほぼ変わらないままROEが上がる場合があります。株主還元と事業の収益力は、別々に評価しましょう。
資産売却益や特別損失など一時的な項目も当期純利益を大きく動かします。過去数年の推移を確かめ、通常の事業利益が続いているか、借入が膨らんでいないかまで見れば判断の精度が上がります。
本ごとの読みどころ
『たった10日で決算書がプロ並みに読めるようになる!会計の教室』は会計学習で苦労した人にも読み進めやすい基礎書です。第7章でROAとROEを扱い、ROEを高めるために会社の命を削るべきではないという視点も紹介します。
『ファンダメンタル投資の教科書 改訂版』は日本株の個人投資家向けの本です。ROEとROAを併用する分析に加え、自己資本が小さくROEが高く見えるケースや財務レバレッジの見方を扱います。会社四季報と決算短信を使った業績比較も実践的です。
『企業価値がわかる 財務分析講座』では、ROEと株主資本コストや株価との関係を学べます。アナリストの分析手順と株式価値評価も設例から追えるため、指標を投資判断につなぐ視点を得られます。
『企業価値向上のための 経営指標大全』は48の重要指標と31のケーススタディを収録。三菱UFJフィナンシャル・グループ、エーザイ、京セラのROE事例も掲載しています。
『ファイナンシャル・マネジメント』は売上高当期純利益率、総資産回転率、財務レバレッジを扱う体系的なテキストです。ROEの信頼性をタイミング、リスク、価値から検討します。
結論
日本株のROEは高さだけで判断しません。利益率、総資産回転率、財務レバレッジの三要素に分け、事業の改善か自己資本や借入の変化かを確認しましょう。
会計の基礎を読むなら『会計の教室』、決算資料を使った銘柄分析には『ファンダメンタル投資の教科書』が入り口です。企業価値評価まで学びたい人には『財務分析講座』をすすめます。
デュポン分析の日本企業事例には『経営指標大全』、財務全体を体系的に学ぶ本には『ファイナンシャル・マネジメント』をすすめます。ROEを出発点にすれば、決算のどこを読むかが定まります。
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