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PostGISを学ぶ本を探すと、扱うテーマの広さに迷います。SQLの基本に加えて座標系や距離検索、空間インデックスも関わるため、どの本から始めるかで読み心地は変わってきます。
今回は、実践型、体系学習向け、レシピ集、フランス語の専門書を取り上げます。GISに初めて触れる人は、座標系やgeometryとgeographyの使い分けで迷いがち。ここを意識すると各書の特色も見えてきます。
SQLの基本を知っているかどうかで、本文に入るときの負担は変わります。実例を動かしながら進む本と、機能を体系的に確認する本では、知識の整理のされ方も違います。
4冊の早見表
| 書名 | 主な内容 | 仕様・対象 |
|---|---|---|
Spatial SQL: A Practical Approach to Modern GIS Using SQL | geometry・geography、空間結合、ラスタ、ルーティング | 2023年刊、530ページ、初級から上級向け |
PostGIS in Action, Third Edition | 型、座標系、空間分析、性能調整 | 2021年刊、664ページ、基本SQLの知識がある人向け |
PostGIS Cookbook, Second Edition | データの入出力、変換、分析の手順 | 2018年刊、584ページ、英語、初級から中級向け |
| PostGIS – Tous les ingrédients pour concocter un SIG sur de bonnes bases | ベクター・ラスタ、分析、運用 | 2023年刊、550ページ、フランス語 |
4冊ともPostGISを扱いますが、読み進める軸はそれぞれ異なります。クエリを試す本、概念を体系的に読む本、作業手順を引く本。こう並べると、内容の違いが見えます。
書名や版と一緒に、対象バージョンも確かめてください。古い世代を扱う本からも基礎は学べますが、SQL例を実行するなら手元の環境との差を確認しましょう。
身近な地図データを題材にできる本は、空間SQLの入口をつかみやすくしてくれます。業務でインポートや性能改善も担当するなら、分析工程に加えてデータの準備や出力を扱う範囲にも注目したいですね。
空間SQLの入口
PostGISはPostgreSQLに地理空間データの型や関数を加える拡張機能です。住所や店舗情報のような表データに位置を持たせ、SQLで距離や重なりを調べられます。データベースに地図を扱う機能が加わるわけです。
店舗の位置と行政区域の境界を結び付ければ、区域ごとの店舗数を集計できます。通常の表結合と異なり、位置関係そのものを結合条件にできるのが空間結合。地図上の問いをSQLに置き換える考え方です。
座標系は初学者が迷いやすい箇所。同じ座標値でも空間参照系によって意味や単位が変わるからです。距離をメートルで計算するなら、データが持つ座標系を先に確認しましょう。
geometryとgeographyは役割が異なります。geometryは座標平面上の形状処理に使いやすく、geographyは地球表面を考慮した距離計算などに使えます。用途と座標系を合わせて理解すると、混乱しにくくなります。
SQLで実践する
Matthew Forrest著のSpatial SQL: A Practical Approach to Modern GIS Using SQLは2023年刊です。全530ページのペーパーバックで、本文はフルカラー。SQL入門者から上級クエリを学びたい人まで対象にしています。
geometryとgeographyの操作や計測に加えて、空間データベースの作成、インデックス、クエリも扱います。空間結合や距離検索も学べるため、地図データを使ったSQL分析に進みたい人に合います。
ラスタ・適地分析・pgRouting・PostGIS上の空間データサイエンスも扱います。点やポリゴンの基本を越え、交通経路やラスタにも興味がある人におすすめです。
扱う範囲が広いため、初学者は一度にすべて覚えなくて大丈夫です。geometryと基本的な空間関係から進めれば負担を抑えられますし、SQLの実例を中心に学びたい人にもおすすめできます。
全体像を深める
Leo S. HsuとRegina ObeによるPostGIS in Action, Third Editionは、第3版の全664ページです。リレーショナルデータベースと基本SQLの知識がある人を対象とし、GISの事前経験は不要です。
geometry、geography、raster、topologyと空間参照系を幅広く扱います。空間関係・近接分析・クエリ性能の調整を含み、PostGISの機能を体系的につかみたい人に合う構成です。
対象はPostGIS 3.1とPostgreSQL 13で、2021年刊です。現在の環境で例を試す際は関数や設定の違いを確認しましょう。型や空間分析の考え方をまとめて学ぶ本として価値があります。
公式の希望小売価格はUS$59.99です。実売価格は販売店や時期、為替によって変わるため、購入時に確認してください。基本SQLを踏まえてPostGISを腰を据えて学びたい人におすすめです。
レシピで手を動かす
PostGIS Cookbookの第2版はStephen Vincent Matherらによる英語書で、全584ページです。初級から中級向け。個々の処理手順を参照しながら進めたい人に便利なレシピ集です。
CSV、GDAL、シェープファイル、OpenStreetMap、ラスタのインポートとエクスポートを扱います。分析関数に入る前のデータ取り込みから、実作業の流れを確認したい人にも合います。
ベクター・ラスタ分析や座標系変換、空間インデックスの手順をレシピ形式で確認できます。よくある処理を探すリファレンスにも便利でしょう。
発行は2018年で、対象はPostgreSQL 10世代です。手順を現在の環境でそのまま実行できるとは限らないため、版の違いを確認してください。インポートや変換の考え方を学ぶ本として読むのが堅実です。
仏語の専門書
Arthur BazinのPostGIS – Tous les ingrédients pour concocter un SIG sur de bonnes basesは2023年刊、全550ページです。フランス語のペーパーバックで白黒印刷。フランス語で専門書を読める人向けです。
PostgreSQL 15とPostGIS 3.3.2を対象に、geometryとgeographyの違いや形状の作成・編集・計測を扱います。空間関係、空間結合、ジオメトリインデックス、性能管理も学べる内容です。
ベクターとラスタの作成、入出力、分析に加え、PostgreSQLとPostGISの運用も扱います。分析関数にとどまらず、データの準備や管理まで視野に入れたい読者に応える一冊でしょう。
対象バージョンが比較的新しいのも特徴です。フランス語が読める人には、運用まで扱う専門書としておすすめできます。
PostGIS – Tous les ingrédients pour concocter un SIG sur de bonnes bases
D-BookeR Éditions
Amazonで見る結論
SQLの基本から空間分析まで実例を追いたい人には、Spatial SQLがおすすめです。ラスタとpgRoutingも扱うため、初学者が次のテーマへ進む手掛かりも得られます。
型や分析、性能調整をまとめて押さえたい人にはPostGIS in Actionが合います。インポートや変換の手順を確認したいならPostGIS Cookbookが候補です。後者の対象世代は古いため、掲載例を現行環境で試すときは確認してください。
フランス語で読めて運用まで学びたい人には、PostGIS – Tous les ingrédients pour concocter un SIG sur de bonnes basesも有力です。迷ったときは、自分が扱うデータや業務に直結する一冊から始めてください。
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