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とはいえ、画面の色だけで故障と決めるのは早計です。負荷や撮影距離でも色の見え方は変わるため、基板全体を見るのか、小さな部品を追うのかを意識すると機種の違いをつかみやすくなります。
基板の熱を見る
基板で熱源になりやすいのは、電力を扱うレギュレーターやMOSFET、ダイオード、モーター用ドライバーなどです。異常発熱は部品単体にとどまらず、周囲の基板や配線への熱の広がりにも表れます。
たとえば定格負荷で回路を動かし、起動直後と数分後を撮影してみます。温度が上がり続ける部品を見つけやすくなりますよ。負荷や撮影距離、室温をそろえれば、改修前後の比較にも役立ちます。
熱画像で分かるのは基板表面の温度です。部品内部の接合部温度や基板裏側の熱源は直接測れません。異常箇所の候補を絞り、回路図や電圧・電流の測定につなげる道具と考えましょう。
光沢のある金属端子やはんだ面には、周囲の熱が反射して映ることがあります。実際より高温にも低温にも見える場合があるため、角度を変えても同じ場所に熱が出るか、隣の部品との温度差が繰り返し見えるかを確かめてください。
製品の早見表
基板を広く見るなら視野の広さ、小さな部品を観察するなら赤外線解像度やピント合わせが頼りになります。まずは4機種の特徴を整理しました。
| 製品 | 赤外線解像度 | 基板で活きる特徴 | 接続・表示 |
|---|---|---|---|
| HIKMICRO Mini E | 96×96 | 広い視野角50°×50°、0.1mから撮影 | スマートフォンに直結 |
HIKMICRO Mini2 Plus V2 | 256×192 | 手動フォーカス、0.1mから | スマートフォン・Windows |
HIKMICRO Pocket2 | 256×192 | 本体画面、別売マクロレンズ対応 | 本体保存・Wi-Fi・USB-C |
| FLIR Edge Pro | 160×120(ネイティブ) | Wi-Fiで約5m離れて操作 | スマートフォン接続 |
価格は販売時期や販売店によって変動します。Pocket2で細部を撮影するなら、別売マクロレンズとデスクスタンドを含めた総額も見ておくと安心ですね。
小さな部品の発熱を詳しく見るならMini2 Plus V2、スマートフォンなしで撮影したいならPocket2がおすすめです。基板全体の熱分布を手早く把握したい人には、広角のMini Eが合います。
Mini E
Mini Eはスマートフォンに直結して使う小型カメラです。HIKMICRO Viewerアプリで表示や計測ができ、対応OSはiOS 14以降とAndroid 7以降。Lightning用の変換アダプターも付属します。
赤外線解像度は96×96、視野角は50°×50°です。フォーカスフリーで、最短撮影距離は0.1m。基板を広く写して電源ICやコネクター周辺の温度の偏りを探す用途に合います。
NETDは25°C・F#1.0で50mK未満です。測定温度範囲は−20~150°Cと100~400°Cの2レンジで、精度は最大±2°Cまたは±2%。この精度の条件は周囲温度15~35°C、対象物温度0°C超です。
SuperIRによる画像補正はライブビューと撮影画像に対応します。小さな部品の輪郭を見分けたいなら、高解像度機のほうが有利。基板全体の熱分布を手早く確認するカメラとしては、Mini Eも扱いやすい機種です。
HIKMICRO Mini E
Amazonで探すMini2 Plus V2
小さな部品のホットスポットを詳しく調べる人には、Mini2 Plus V2がおすすめです。赤外線解像度は256×192画素で、手動フォーカスにも対応。最短撮影距離は0.1m、フォーカス調整範囲は10cm~50mです。
視野角は25°×18.8°で、Mini Eより狭くなっています。基板全体よりも電源ICやMOSFETなどにカメラを向けた観察に適します。画像周波数は25Hzです。
NETDは25°C・F#1.0で40mK未満、測定範囲は−20~400°C。精度は最大±2°Cまたは±2%で、条件は周囲温度15~35°C、対象物温度0°C超です。対応OSはiOS、Android、Windows。
スマートフォンではHIKMICRO Viewer、WindowsではHIKMICRO Analyzerを利用できます。基板画像をPCで確認したり、部品ごとにピントを合わせたりしたい人におすすめのモデルですね。
Pocket2
Pocket2は3.5インチ、640×480画素のタッチスクリーンを備えた一体型カメラです。スマートフォンを接続せず、本体画面を見ながら撮影できます。画像や動画は本体に保存でき、USB Type-CとWi-Fiにも対応します。
赤外線解像度は256×192、NETDは40mK未満です。視野角は50°×37.2°と広めで、フォーカスフリー、最短撮影距離は0.3m。基板全体を俯瞰して熱の広がりを確かめる撮影に合います。
測定温度範囲は−20~150°Cと100~400°Cの2レンジで、精度は最大±2°Cまたは±2%です。画像や動画はHIKMICRO Viewerアプリに加え、Windows用HIKMICRO Analyzerでも扱えます。
別売マクロレンズとデスクスタンドを併用すると、約100µmの細部を撮影できます。標準状態の近接撮影とは条件が異なるため、細部を記録したい場合は周辺機器も用意しましょう。
FLIR Edge Pro
カメラを基板に近づけにくい配置なら、FLIR Edge Proが便利です。スマートフォンとWi-Fiで接続して、カメラ本体を最大約5m離して操作できます。撮影した画像や動画はモバイル端末に保存可能です。
赤外線解像度はネイティブ160×120で、スーパー解像度は480×360です。後者は画像処理による表示で、検出器本来の画素数とは異なります。視野角は54°×42°、最短撮影距離は0.3mです。
NETDは70mK。測定温度範囲は−20~120°Cと0~400°Cで、精度は±3°Cまたは±5%です。精度の条件は起動60秒後、機器温度15~35°C、シーン温度5~120°C。ほかの3機種とは条件が異なるため、温度差を単純に比べないようにしましょう。
電池駆動時間は約2時間30分で、充電端子はUSB-Cです。iOS 17以降とAndroid 13以降に対応し、FLIR ONEアプリ、FLIR Ignite、FLIR Thermal Studioを利用できます。カメラ本体を基板へ向けにくい位置から観察したい人におすすめです。
FLIR Edge Pro
Amazonで探す温度表示の限界
表示温度は撮影距離や角度、対象の表面状態によって変わることがあります。銅箔やはんだ、金属ケースのような光沢面は反射の影響を受けやすく、画面上の最高温度がそのまま部品温度とは限りません。
測定精度には条件があります。HIKMICROの3機種は周囲温度15~35°C、対象物温度0°C超で最大±2°Cまたは±2%。FLIR Edge Proは条件も精度も異なり、型番をまたいだ数度の差だけで良否は判断できません。
発熱の原因を探る際は、室温や負荷、通電からの時間、撮影位置をそろえてください。気になる箇所が見つかったらテスターで電圧や電流を測り、回路上の役割と照らし合わせます。
通電中の基板では短絡や感電、やけどに注意が必要です。最低撮影距離を守り、通電したまま部品に触れないでください。焦げ臭さや急な温度上昇に気づいたら、測定を止めて電源を切りましょう。
結論
基板上の小さなICやMOSFETを狙うなら、256×192画素と手動フォーカスを備えたMini2 Plus V2が第一候補です。高解像度に加えて近距離でピントを合わせられ、部品単位の観察に適しています。
本体画面と保存機能を重視するならPocket2、スマートフォンを向けにくい場所で使うならFLIR Edge Proがおすすめです。広い視野で基板全体の温度分布を確認したい人にはMini Eが合います。
迷ったら、部品を拡大して見るのか、基板全体を映すのかを先に考えると、必要な機能が整理しやすくなります。故障診断では絶対温度だけに頼らず、条件をそろえた熱画像と電気測定を組み合わせると判断が堅実です。
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