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組み込み開発でUSBプロトコルアナライザーを探すなら、最初に確かめたいのは対象機器の速度です。USB以外の信号を同時に追う必要があるかも、機種を決める手がかりになります。
対応速度さえ合えば十分、とは限りません。必要な信号を記録できないと調査が遠回りになります。USB 2.0までの機器から10 Gbpsのリンク試験まで、5製品の持ち味を見ていきます。
早見表
| 製品 | 対応範囲 | 主な強み | 向く対象 |
|---|---|---|---|
| Beagle USB 12 | Low-Speed、Full-Speed | リアルタイム表示、ディスクリプタ解析 | Low-SpeedとFull-Speedの機器 |
| Beagle USB 480 | USB 2.0各速度 | クラス解析、外部入出力、64 MBバッファ | USB 2.0機器 |
| Beagle 5000 v2 | USB 3.0 5 Gbps、USB 2.0 | 同時監視、LTSSM、4 GBバッファ | USB 3.0とUSB 2.0の機器 |
| Mercury T2P | USB 1.0〜2.0、PD 2.0と3.0 | Type-C接続、電圧・電流の同期表示 | USB Type-CとPDの検証 |
| Explorer 350 | USB 3.1 Gen 2 10 Gbps、PD 3.0など | USB、PD、Vbus、ロジックの同時取得 | 高速リンクの開発・検証 |
価格は販売店や構成、時期によって変動します。参考価格は予算の目安として受け止め、発注時には同じ構成の最新価格を確認してください。
USB 2.0までの開発にはBeagle USB 12かBeagle USB 480をおすすめします。USB 3.0のリンク状態まで調べるならBeagle 5000 v2が適しています。PDの交渉や電源状態を追う場合はMercury T2PかExplorer 350をおすすめします。
対応速度だけを見て決めるのは早計です。たとえばPDの電圧変化をパケットと並べて確認するには、電源測定機能も必要です。調査対象の信号まで確認しておきたいですね。
USB解析の基本
USBプロトコルアナライザーはホストとデバイスの間を流れる通信を取り込み、パケットや転送単位で読める形にする計測器です。認識されない、応答が遅い。記録から、そうした症状の手がかりを探せます。
機器の起動時には接続の検出やデバイス情報の読み出しなど、いくつものやり取りが続きます。通信を記録すれば、どの段階で応答が止まったかをログと照らし合わせやすくなります。
速度に加えて、クラスデコードや記録方式も確認したいところです。長時間の通信を残すのか、エラー時の記録を重視するのか。その違いで、バッファ容量やトリガー機能の役立ち方が変わります。
Beagle USB 12
Total PhaseのBeagle USB 12はUSB Low-Speed 1.5 MbpsとFull-Speed 12 Mbpsに対応します。USB 2.0 High-SpeedやSuperSpeedは対象外。キーボード、センサー、制御基板など、この速度範囲の機器を調べる用途に使えます。
リアルタイム表示に加え、USBデバイスディスクリプタも解析できます。接続直後の認識内容や、設定値とファームウェアが申告する内容の照合に役立ちます。
接続口はホスト側がUSB Type-B、デバイス側がUSB Type-Aです。解析PCもUSB Type-Bで接続し、本体はUSBバスパワーで動作します。
取得データはPCへリアルタイムにストリーミングでき、25 GBを超えるトレースを記録できます。タイムスタンプ精度は21 nsで、解析ソフトはWindows、Linux、macOSに対応しています。
Beagle USB 480
Beagle USB 480はLow-SpeedとFull-Speedに加え、High-Speed 480 Mbpsまで扱えます。USB 2.0対応機器で、速度の異なる製品を同じ環境で調べるときに便利です。
本体には64 MBのオンボードバッファがあり、リアルタイム取得と遅延ダウンロードに対応します。PCへのストリーミングでは25 GBを超えるトレースを記録でき、短い通信を本体に保持する調査にも長時間の記録にも使えます。
Data CenterソフトウェアはUSBクラスレベルのデコードに対応します。ハードウェアによるパケット抑制フィルターも搭載。不要な通信を減らし、追いたいデータを見つけやすくします。
外部デジタル入力と出力は各4系統で、入力信号の監視や外部トリガー出力に利用できます。タイムスタンプ精度は16.67 ns、解析ソフトはWindows、Linux、macOSに対応しています。
Beagle 5000 v2
Beagle USB 5000 v2 Ultimate EditionはUSB 3.0 SuperSpeed 5 GbpsとUSB 2.0の各速度を扱い、両方を同時に監視できます。USB 3.0機器の調査でUSB 2.0側の接続状態も見たい場合に使えます。
USB 3.0用のオンボードバッファは4 GBです。USB 2.0とUSB 3.0のMatchとActionのトリガーでは最大8状態の条件を設定でき、特定の通信や状態遷移をきっかけに記録できます。
USBクラスレベルのデコードに加えて、USB 3.0のLTSSM追跡にも対応します。リンク確立の過程を状態遷移として確認できるため、通信が始まる前の接続問題を調べる際にも役立ちます。
タイムスタンプ精度はUSB 3.0で2 ns、USB 2.0で16.7 nsです。対象ホスト側はUSB 3.0 Type-B、デバイス側はType-Aで接続します。複数アナライザーの同期にも対応し、解析ソフトはWindows、Linux、macOSで利用できます。
Mercury T2P
Teledyne LeCroyのMercury T2P Standard AnalyzerはUSB 1.0、1.1、2.0の各速度に対応します。USB Power Delivery 2.0と3.0にも対応し、Type-C機器の通信とPD交渉をまとめて確認できます。
PDメッセージと同期させてVBUS・VCONNの電圧と電流を表示します。給電条件を変えたあとにデバイスが応答しなくなった場合も、電源状態と通信内容を並べて確認できます。
記録容量は512 MBで、PCへのスプール記録に対応します。データパターンやエラーを条件にする高度なトリガーとリアルタイムフィルターを備え、USB 2.0とPDのパケットから転送レイヤーまで解析可能です。
USB 3.2 SuperSpeed信号はパススルーしますが、T2Pでは解析できません。解析ソフトCATC TraceはWindows 10と11に対応します。USB 3.xの解析や異なるOSが必要な場合は、対応範囲を先に確認してください。
Explorer 350
Ellisys USB Explorer 350 Analyzer for SSPはUSB 1.0と1.1からUSB 3.1 Gen 2の10 Gbpsまで対応します。USB Power Delivery 3.0にも対応し、USB 3.0の5 Gbpsを超える機器の開発や検証にも使えます。
USB 2.0、USB 3.x、PD、Vbus、ロジック信号を同時に取得でき、通信と電源や外部回路の信号を時刻をそろえて見られます。原因調査で複数の計測器を行き来する手間も抑えられます。
USB 3.xのタイミング精度は400 ps、USB 1.xと2.0は16.7 nsです。外部ロジックは16系統の入出力に対応し、帯域は50 MHz。Standard AおよびBコネクタに加え、アダプターとケーブルでType-Cにも対応します。
キャプチャ前フィルターや複数ユニットの同期に対応し、USB標準とクラスのデコード、性能、エラー、タイミング情報を表示します。構成によりホストとデバイスのエミュレーションやコンプライアンステストも行えます。対応OSはWindows 7以降、Linux、macOSです。
結論
USB Low-SpeedとFull-Speedの通信やディスクリプタ確認が中心なら、Beagle USB 12をおすすめします。USB 2.0 High-Speedの解析、クラスデコード、外部トリガーが必要ならBeagle USB 480が適しています。
USB 3.0とUSB 2.0を同時に監視してリンク確立の問題を調べるなら、Beagle 5000 v2をおすすめします。Type-C機器のPD交渉や電圧・電流も確認したい開発にはMercury T2Pが使えます。ただし、USB 3.xの解析には対応しません。
10 Gbpsの通信に加えてPD、Vbus、外部ロジックを同期して調べたいなら、Explorer 350がおすすめです。対象速度と、必要な信号やトリガーの対応範囲を照らし合わせれば、組み込み開発で使う機種を決めやすくなります。
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